今回の記事では音声データの文字起こしを効率的に行うためのコツや、そのためのツールについて紹介します。
主な対象読者・・ ・
・仕事として文字起こしをする必要のある方
・副業・バイトなどで文字起こしに興味がある方
・無料・有料を問わず、少しでも効率的な文字起こしのツールを知りたい方
この記事を書いたひと・・・
・副業で在宅の文字起こしを1年以上していた人
・月当たりの報酬は多いときで新卒初任給程度
文字起こしに必要なもの

まず初めに、文字起こしに必要な基本ツールの確認です。
文字起こしに必要なものは、それほど多くなく、
- PC/スマートフォン
- ワープロソフト(テキストエディタ)
- 音源、音声再生ソフト
くらいなものです。
テキストエディタは定番であるMicrosoftのWordやGoogleドキュメントを使うと良いでしょう。
また音源の再生も、Windows Media PlayerやQuickTime PlayerなどPCに標準で搭載されているものでも、十分に可能です。
【定番のテキストエディタ】
・Google ドキュメント – オンラインでドキュメントを作成、編集できる無料サービス
Googleドキュメントは高機能かつ無料で利用できます。オンラインでの使用が前提となるため、インターネット環境が必要になります。
・文書作成ソフトウェア – Word | Microsoft Word
有料/1カ月無料お試しあり
Word、Excel、Powerpoint、OutlookなどのOfficeアプリ全般の利用が可能になるサブスクリプションプラン(Microsoft 365)に加入することが前提となります。
購入したPCにOfficeソフトが付属している場合は、すぐに使うことができます。
フリーソフトを活用する

いま確認したように、文字起こしは最低限のツールだけ揃えてしまえば、いつでも始めることができますが、
・定期的に文字起こしをする機会がある
・長時間の文字起こしを効率的に行ないたい
・副業・仕事として、素早く正確にこなす必要がある
というような場合は、少しでも時間短縮が可能なツールを揃えておくに越したことはありません。
これから紹介するようなフリーソフトや時短テクニックを利用すれば、それだけで何倍も効率的な作業ができるようになります。
文字起こしのための専用ソフトを使う
まずは、文字起こし専用の音声再生プレーヤーをダウンロードしましょう。
文字起こしをする際には、聞き取りにくい箇所を繰り返し聞いたり、文字を記入するために一時停止と再生を繰り返したりと、頻繁に音声再生ソフトを操作する必要があります。
そのため、文字起こしをするのに便利な機能を標準搭載している専用ソフトを利用することで、そのような操作が非常に楽になります。
文字起こし用のソフトでは、
- 音声再生時の自動巻き起こし(秒数指定)
- 指定区間のリピート
- 再生速度やピッチの変更
- 再生、一時停止、区間リピート等の細かいショートカットキーへの割り当て
- 再生時間、再生位置のタイムコードの取得
- 音声ファイルのドラッグ&ドロップによる再生機能
- ノイズ処理、イコライザ処理、ステレオ/モノラルの切り替え
などの文字起こしを補助する動作を簡単に行うことができます。
一番上の「自動巻き起こし機能」(一時停止を解除した際に、自動で数秒戻した位置から再生する機能)などは、特に、文字起こし用ソフトにおいては特徴的な機能ですね。
昔から使われている定番のソフトがありますので、まずはこちらから好みにあったものを選べば良いでしょう。
どのソフトでも基本的な性能に大差はなく、上記のような文字起こし用の機能が搭載されています。
【文字起こし用の音声再生プレーヤー(無料)】
文字起こし/テープ起こしにおいて定番のソフト。開発が終了しており2009年以降アップデートがないものの、今でも継続して使用している人も多い。
・テープ起こしプレーヤー(Windows) …おすすめ
2017年に無料公開された文字起こしプレーヤー。上記のソフトなど、広く普及しているソフトを参考に開発されている。バージョンアップも必要に応じて継続的に行われている。
MAC用の文字起こし用のソフト。
株式会社アスカ21「テープ起こしプレーヤー」を利用した設定例

私が文字起こしをする際には、いつもこの株式会社アスカ21さんの「テープ起こしプレーヤー」を利用させて頂いてます。
既存のソフトを参考にして開発されていることもあり非常に優秀なソフトです。
このソフトがリリースする前から広く普及していた「okoshiyasu2」と比べても、より機能強化されているように感じます。
好みにあわせて細かなカスタマイズも可能ですが、
・再生の設定は自動巻き戻し秒数は0秒、早送・巻戻秒数は2秒
・キー設定で再生・停止をEscapeキーに、「巻き戻し」「早送り」をF1、F2キーに設定する
・キー設定でタイムコードのコピーをF3キーに設定する
・聞き取りにくい音声の場合は、イコライザー、モノラル化、ノイズ軽減等の音響処理を試す
・表示設定の「常に手前に表示」にチェックを入れる
この当たりの設定だけを変更して利用しています。
ショートカットキーは自分で試しながら好みで決めていくと良いでしょう。
ショートカットキーをより細かく設定すれば、それだけ手を離さずに、キーボード上だけで多くの操作を完結させることができます。
その他のおすすめフリーツール
ここで紹介しているのは、私が文字起こしをする際に利用しているその他の無料ツールです。
対談・会議・インタビューなど、ICレコーダー等を使用して自分で音源を用意している場合は必要ありませんが、ネット上にあるものから書き起こしをすることが多いのであればどれも役に立つツールなので、参考にしてみてください。
Turbotop

Turbotopは特定のソフトやフォルダを常に最前面表示にできるソフトです。
このソフトは、ブラウザ上にある動画を再生しながら文字起こしをする場合や、参考になる資料を開きながら文字起こしをする際に使用することがあります。
テキストエディタと、参考資料を表示するための小ウィンドウを同画面で開こうとすると、片方の画面を編集しようとする際にもう片方の画面が自動で閉じてしまうことがありますが、このソフトを使うとそれを防ぐことができます。
Video Download Helper

Video Download Helperはブラウザ上で再生される動画をダウンロードするためのプラグインです。
YouTube動画はもちろんのこと、企業の自社サイトなどにおいて埋め込みで設置されている動画のダウンロードにも対応しています。
私の場合は、10分程度の再生時間の短い動画の場合は、動画のダウンロードをしないでブラウザ上で直接再生しながら文字起こしをすることもあります。
しかし、1時間を超えるようなものや聞き取りが困難なものである場合は、それだけだと再生速度の変更や自動巻き戻し機能などが使えず、大変になります。
そのため、こちらのソフトを利用して動画を一度ダウンロードしてから、自分の使い慣れているプレーヤーで再生しながら文字起こしを行うことが多いです。
*YouTube動画のダウンロードのみで問題ない場合はy2mateのプラグインも使い勝手がよくおすすめです。
えこでこツール

えこでこツールは動画から音声の抽出をしたり、音声フォーマットの変換が簡単にできるソフトです。
主に、上記のVideo Download Helperやy2mateで保存した動画を、音声ファイルに変換するために使用しています。
「okoshiyasu2」や「テープ起こしプレーヤー」のような文字起こし用の再生ソフトは、MP4のような動画ファイルの再生に対応していません。そのため、動画の文字起こしの場合は、こちらのソフトで音声変換をしてから利用しています。
こちらのソフトを立ち上げて、音声変換したい動画ファイルをドラッグ&ドロップするだけで簡単に、WAVファイル、MP3ファイル等の作成を行うことができます。
ブラウザ上で音声変換のできるオンラインツールもありますが、アップロードできる動画サイズに制限があったり、エンコード中にエラーが起こったりと、何かと不便に感じることが多いです。
インタビューや講演などの動画になるとファイルサイズが大きくなることが多いですが、このソフトにおいてはエラーになったことは一度もありません。
えこでこツールはインストールも不要であり、動作も軽快なので、上記のような動画をダウンロードするツールとセットで用意をしておけば心強いです。
時短テクニックを身につける

次に、時間短縮のテクニックについての紹介です。
まず始めに基本的な文字起こしのルールの確認をし、それからタイピングの速度や精度の改善、単語登録機能を使う方法まで順を追って説明します。
文字起こしの基本的なルールについて理解する
「素起こし」「ケバ取り」「整文」の起こし方を統一する
文字起こしには「素起こし」「ケバ取り」「整文」という代表的な3種類の起こし方があります。
「素起こし」…「ええと」「その」などの相づちや間投詞を含めて、聞こえるすべての音声を忠実にそのまま文字に起こす
「ケバ取り」…相づちや、口癖、不要な箇所(言い間違い等)を削除して読みやすくする
「整文」…不要な部分を削除したうえで、理解しやすいように文章の前後を入替えたり、敬語などの言葉遣いも整える
というように、ただ聞こえるままに文字起こしをすることもあれば、自分で修正や体裁を整えるための簡単な加筆まで行うこともあります。
そのため、まずは実際に文字起こしを始める前に、どの起こし方に沿って行う必要があるのかを確認して、1つの起こし方に統一して行うようにしましょう。
仕事として受注するのであれば、どの仕様に沿って文字起こしをするのかは、クライアント側から指定されることが多いです。
例えば、クラウドソーシングサイトなどで募集されている文字起こしの案件の場合は、「ケバ取り」まで行なうことが多いように思います。
また、私の場合は、「整文」まで行う場合でも、まずは「ケバ取り」で一度全体の文字起こしを行ってから、「整文」をすることが多いです。
自分のやりやすい方法でやれば良いでしょう。
表記を統一する
漢字・ひらがななどを含めて、同一用語に対して複数の表記が存在するときは、必ず1つの表記に統一をします。
例えば、
・「お願いいたします」「お願い致します」
・「すべて」「全て」
・「エディタ」「エディター」
などは、どちらの表記も見かけることがあると思いますが、文字起こしにおいては複数の表記を同一文書内で使用しないようにします。
複数の表記のうち、どの表記にすれば良いのか判断がつかない場合でも、とりあえずは1つの表記に統一しましょう。
「表記ブック」の表記に統一をする
仕事として行なう場合は、クライアントから表記のリストを渡されることもあります。その場合は、そちらの表記に従います。
特に指定されていない場合もしくは、その指定の表記リストに記載がない言葉に関しては、一般的な表記ブックのルールに従えば問題ありません。(詳しくは「表記ハンドブック for ATOKを使用する」の項目で後述します)
聞き取り不明の位置は記号を用いて示す
聞き取れなかった箇所は省略記号を用いて、あとで分かりやすいように示しておきます。
●(くろまる)、〓(ゲタ)、<聞き取り不能>、*(アスタリスク)など、決まった記号に統一しておくことで、あとで検索する際にも簡単に該当箇所がわかるようになります。
タイピング速度を改善する

効率的なテクニックを用いたり時間短縮のためのツールを使用することも有効ですが、やはりタイピングの速度が文字起こしの作業効率において非常に重要です。
タイピング速度の改善において基本となるのは、「ブラインドタッチ」と「ホームポジション」を意識したタイピングです。
文字起こしは簡単にできるように見えて、意外と時間がかかるものです。
慣れている人でも、見直しなどの時間も含めると、1時間で文字起こしができるのは20分くらいなものでしょう。
タイピングを早くできれば、それだけ早く作業を進めることができます。
単語登録をする
最後に、単語登録を使用する方法です。
文字起こしというと、いかに早く入力をするのかということを考えがちになるものだと思います。
しかし、それと同時にいかに入力を少なくするかということを考えることによって、大幅な時間短縮が可能になります。
上述したような、文字起こし専用のソフトを使ったりブラインドタッチ等の基本を身につけることに比べれば細かな点とはなりますが、繰り返し作業をする上では、けっこうな時間短縮になりますので、覚えておくと便利です。
頻出するフレーズ・言い回しを登録する
時間短縮のためには、頻繁に使用する語句やフレーズはユーザー辞書に単語登録をしましょう。
文字起こしをしていると、繰り返し使用される言葉があることに気づきます。
そのような言葉をその都度入力していれば、時間がかかってしまいます。単語登録をしておけば、入力しなくても変換候補に出てくるので、より少ない入力文字数でより効率的に書くことができます。
たとえば、上記のイラストで表示されている文章(『本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。 ~(中略)~ ご静聴ありがとうございました。』)は、講演などではよく使われるフレーズですが、これだけでも48文字分あります。
この場合、それぞれの文章のまとまりの頭文字に当たる「ほ」「ま」「ご」の1文字で、それぞれを定型文として登録しておくことで、
ほ… 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、
ま… 誠にありがとうございます。
ご… ご清聴ありがとうございました。
と、「ほ」「ま」「ご」の3文字を打つだけで、一瞬でこの48文字分の入力が終わります。
実際には、あまりに短い言葉だと誤変換のもとにもなるので、2文字や3文字程度で登録をしておくことが多いですが、繰り返し使用されるフレーズを、このように単語登録辞書を工夫して使用することによって、時間短縮になります。
頻出する専門用語を登録する
また、書き出しをする音声のジャンルによっても、頻繁に使用される語句は違います。
例えば、投資情報やIRに関する音声の場合では、「有価証券報告書」「第1四半期」「連結業績」「SDGs」などその分野に特定の言葉が繰り返し使用されます。
そのような場合は、
ゆう…有価証券報告書
いち…第1四半期
れん…連結業績
えす…SDGs
などのように、自分がわかりやすように短縮した言葉でユーザー辞書に登録をしておくことで、入力の手間を省くことができるようになります。
頻出する打ち間違えをそのまま登録する
また、高速でタイピングをしていると、繰り返し打ち間違いの入力ミスをしてしまう言葉が見つかることがあります。
例えば、私の場合は、本年度(ほんねんど)などNが多くなる言葉を素早く打とうとすると、途中のNが抜けて「ほんえんど」となってしまうことがよくありました。
そのため、「本年」の読み言葉を「ほんえん」として登録しておくことで、入力ミスが起こってもそのまま正しい言葉に変換ができるようにしています。
このように、頻出する打ち間違えをそのまま登録してしまうのも、時間短縮になります。
文字起こしに適した日本語入力システムを利用する
こちらで触れた単語登録ですが、高機能な日本語入力システムを利用することでより効率的に行うことが可能になります。
単語登録以外にも、文字入力を補助するさまざまな機能が搭載されていますので、一度検討してみるのも良いでしょう。
(後述している「ATOKを利用する」の項目で、詳しく紹介しています)
表記ゆれや誤入力を素早く修正する

次に、文字起こしにおける効率的な校正、見直しの方法です。
作業が終わったあとには、見直しが欠かせません。
基本的には、私の場合は音源を1.5倍から2倍程度の速度にしたうえで、一番初めから目視で見直しをしていく場合が多いですが、それとあわせて文章校正ツールによるチェックをします。
文章校正ツールは、文章をコピー・アンド・ペーストするだけなのに関わらず、一瞬で多くの指摘をしてくれます。
半角と全角の記号が混ざっていたりなど、目視による確認だけでは見逃しやすいものも指摘してくれますので、積極的に使うことで効率な作業ができます。
このように目視による確認とツールによる確認をあわせて行うことで、効率的にミスを修正できます。
Enno、PRUVを利用して文章校正をする
文章校正ソフトは複数ありますが、無料の文章校正支援ツールの中では、Enno、PRUV(プルーフ)の2つがおすすめです。
上記の画像では、わざと間違いを含めたサンプル文章を使用していますが、表記ゆれや日本語として不自然なところを詳細に指摘してくれます。
有料の校正ツールも含めて、どのような校正ツールを使っても完全にすべてが検出されることは難しく、多少の見落としはあるものです。そのため、複数の校正ツールを併用すると良いでしょう。
いずれにしても、 文章をコピー・アンド・ペーストするだけなので、手間はそれほど変わりません。
検索/置換を利用して素早く修正をする
複数の表記ゆれなどのミスに気付いた場合は、検索/置換を利用して効率的に修正します。
校正作業の段階でミスに気付いたときに、一つひとつ手作業で修正をするのは大変ですが、検索と置換を利用すると一瞬で特定の文字の置き換え作業を完了させられます。
ワープロソフトであればどのソフトにも標準で搭載されていますので、こちらも活用しましょう。
Adobe Acrobat Readerを利用して複数のキーワードを一括検索する
表記リストに基づく校正をしたい場合に、NG表記のキーワードで検索をかけると、ミスをしている部分を簡単に見つけ出すことができます。
しかし、上記の検索と置換では、複数の用語を一括で検索することができません。
そこで私はAdobe Acrobat Reader(PDFファイルの閲覧・編集用のソフト)の「高度な検索」機能を活用して、表記ゆれの確認をするようにしています。
こちらを利用すると、クライアントの指定する表記リストをもとにした文章の校正も、一度で完了させることができます。
多少の下準備が必要なので、詳細は下記にまとめています。
「文賢」を活用する
表記ゆれを含めて、さらに効率的に文章の校閲や推敲を行いたい場合には、 文賢 というソフトを使用するのもおすすめです。
こちらを使用すれば、クライアントごとに異なった表記のルールなどの使い分けにも簡単に対応できますし、文章を推敲するための、あらゆる機能が搭載されています。
ただし、初期費用や月額等でそれなりにコストがかかりますので、文字起こしのためだけならば利用する必要はないように思います。
プロとして校正・編集に関わっている方でしたら、こちらを検討しても良いでしょう。
デュアルモニターを使う

デュアルモニターを使うことで、テキストエディタを開いたまま効率的にその他の作業もこなせるようになります。
文字起こしをする際には、書き起こしをする音声とともに関連の資料を参照することがあります。そのようなときに、1つの画面で資料と文字起こしをするエディターを行き来するのは非常に手間がかかります。
また、正確な名称を調べたりする際にもGoogle検索をして公式サイト等を確認することがありますが、そのようなときにもいちいちエディタとブラウザを切り替えていたら時間がかかってしまいます。
私の場合は、メインモニターにテキストエディタの編集画面と音声再生プレーヤーの2つを立ち上げておいて、サブモニターの方で、文字起こしの際に必要な関連資料の表示やWeb検索をするようなかたちにしています。
最近では、1万円もあればサブモニターの購入もできますので、まだ1つの画面で作業をしているのであれば、購入を検討してみるのも良いかもしれません。
もちろん文字起こしだけではなくて、パソコンの作業全般が非常に効率的にこなせるようになります。
キーボード、リストレストを使う

長時間の入力を定期的にするのであれば、よいキーボードを使うこともおすすめです。
文字起こしをする際にはキーボードを使用する方がほとんどだと思いますが、ノートPCに標準で搭載されているキーボードや、数千円台の価格帯のキーボードでは、文字入力を続けているとすぐに手や腕が疲れてしまいます。
高性能のキーボードを使用すると、疲労感がまったく異なります。
私はほとんど毎日、何万文字もの入力を行っていますが、入力の快適さが段違いですし、1日に何時間打っても、手や腕が疲れるという感覚がまったくありません。
バイトや副業の場合はデータ入力などでもそうかもしれませんが、長時間キーを入力をする方には、一番に検討してみてほしい項目です。
おすすめのキーボードは「Realforce」
参考までに私は、東プレのRealforceというキーボードを使用しています。
東プレのRealforceは高級キーボード(ハイエンドキーボード)の代名詞のような存在であり、個人だけではなく企業からも非常に信頼されているブランドです。
私はキーボードが好きなので、同価格帯(2万円~4万円)の「HHKB」「NiZ」「ARCHISS」等 のキーボードも所有していますが、Realforceが一番癖が少なくて同時に高性能だと感じますので、こちらでしたら誰にでも安心してお勧めができます。
参考のために下記に商品リンクは記載していますが、Realforceだけでも細かなオプションの違いから、10種類以上の製品ラインナップがあります。
そのため、複数のレビューを参照して十分検討したうえで、選ぶと良いでしょう。
もちろん、上で例として挙げたようなものだけではなく、自分にとって打ち心地のよいものでしたら何でも大丈夫です。
大型の電気屋さんに行けば、いろいろなキーボードが展示されていてサイズや打鍵感などの確認もできますので、近くにあるようでしたら一度行ってみるのも良いと思います。
リストレストは適度に硬さのあるものを選ぶ
キーボードとあわせてリストレストを利用すると、さらにタイピングが快適になります。
特に、Realforceのようなハイエンドキーボードは、通常のキーボードより大きくて高さもありますので、リストレストを使用することで、自然な手首の角度を保てるようになります。
リストレストは1,000円台から手に入るので、自分の好みに合って選べば良いでしょう。ただし、1つだけおすすめしたいのは、あまり柔らかすぎない適度に硬さのあるものを選ぶことです。
リストレストは、より柔らかい方がより快適であるようなイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、実際にはジェル素材のように柔らかすぎるものだと、手首が沈んでしまいますし、定位置に固定できないことから、疲労軽減の効果が薄くなります。
Realforceの場合はウッドレストという、木の素材を使った固さのあるリストレストが人気なくらいですので、ぜひ参考にしてみてください。
【キーボード、パームレストに関する参考リンク】
・REALFORCE (リアルフォース 東プレ R3 キーボード)
Realforceは2021年10月に『R3キーボード』という新世代モデルが発売開始されていますので、今から購入する場合はこちのモデルから選ぶのが良いでしょう。
現在はWindows仕様のもののみなので、MACユーザーはもうしばらく待ちましょう。
・ARCHISS キーボード リストレスト プレミアムリストレスト
こちらは私がRealforceと一緒に使っているリストレストです。
リストレストにしては高価格なのでおすすめはしていませんが、リンク先の紹介動画を見ていただければ使用しているイメージがわかると思います。
ヘッドホン・イヤホンを使用する

文字起こしをする際には、ヘッドホン・イヤホンを利用して行うと音声が聞き取りやすくなります。
文字起こしは時間がかかることも多いので、普段は耳に負担の少ないヘッドホンを使用しています。
しかし、聞き取りにくい音声の場合は、カナル型イヤホンのような遮音性の高い機器を使うとより聞き取りやすくなるので、音声に応じて使い分けるのもおすすめです。
フットベタルスイッチ、多ボタンマウスを使う
こちらは私は使用したことがないのですが、文字起こしの時間短縮化としてフットペダルスイッチをおすすめされている方も複数いましたので、紹介します。
フットスイッチに再生・停止などのよく使う項目を割り振ることで、時間短縮につながりそうです。
こういったツールに共通なのは、文字入力以外に必要な動作を最小限にするということですね。
ATOKを使う

ATOKは日本語入力システムの1つです。
ここでは、私の使用している「ATOK for Windows」をベースにしてご紹介しますが、高性能な日本語入力システムを使うことで、文字入力の速度が上昇します。
通常でしたら、「Microsoft IME」「Google 日本語入力」「日本語IM 」など、パソコンやスマートフォンのOSに標準で搭載されている無料の入力システムを利用している方が多いとは思います。
ATOKはそれらの機能を含めた上で、さらに優れたアルゴリズムや、入力において便利な機能を提供しています。
具体的には、
・ 入力中の文脈を解析し自然な日本語に変換する
・ ⼊⼒したいことばを先読みして提⽰する
・ 誤字、脱字等のタイピングミスを認識して自動で修正する
・ 先頭に表示されている変換候補を「Shift + Enterキー」で出力するような入力アシスト機能
・ 変換候補画面における国語辞書、英語辞書などの辞典の索引
・ 追加購入した辞書をベースにした変換予測の表示
などの機能が搭載されています。
いろいろな機能がありますが、要するに、入力が非常に楽になるということです。
自分で文字起こしのコツについて検索した中では、ATOKについて触れているものはありませんでしたが、私にとっては、文字起こしにおいて欠かせないツールです。
ここでは、いくつかの文字起こしにおいて便利だなと感じる使い方を紹介します。
同音異義語やわからない言葉をその場で調べる
文字起こしをする中でわからない言葉が出てきたり、同音異義語の使い分け等で悩むこともあると思います。
しかし、こちらの画像のようにATOKの変換機能は辞書の機能も兼ねているため、いちいちエディタ画面を離れなくても言葉の用例をその場で調べることができます。
ATOKの予測変換機能を活用する

また、特に優れていると感じるのは、文脈を推移して変換候補を表示する機能です。
この機能は、関連性のあるページやPDFファイル等*を開いておくだけで、そこで使用されている固有ワードが変換候補に自動で表示されるようになる非常に優れた機能です。
例えばですが、上記の画像で引用しているページリンクは日本経済新聞の金融緩和政策に関する記事です。
この記事の中には、「シェールオイル」「開閉用モーター部品」「ディスインフレ」「座礁資産」「製造業サプライヤー納期指数」などの、普段はあまり使用することのないキーワードがたくさん含まれています。
しかし、こちらの記事を別ウィンドウで開いておくと、そこから使用されている言葉を抽出したり、金融に関連する話題だということを理解して、そのジャンルに関するキーワードをより多く表示してくれるようになります。
*セキュリティ保護のかかっているファイルなど、推測候補として利用できないファイルもあります。
「記者ハンドブック辞書 for ATOK」を利用する
文章を書いている途中で、この言葉の送り仮名はどう付けるのか、漢字と平仮名のどちらを使うのかなどと迷うことがあります。
このような表記に関して絶対のルールというのはありません。
とはいえ、「じゃあどうすればいいんだ…」と悩む必要はありません。なぜなら、そういう場合の原則としての表記は、共同通信社の「記者ハンドブック辞書」に準拠をしていることが多いので、迷ったときにはこちらの辞書を参照することができるからです。
記者ハンドブックの紙の辞書の場合は、時間がかかってしまうので、文字起こしの作業中にふと悩んだときに調べるのにはあまり適していません。
しかし、ATOKのダウンロード版辞書である、「共同通信社 記者ハンドブック辞書 for ATOK」 を購入することでで、文字起こし作業をしながら、簡単に索引することができるようになります。
ATOK単体でも、文章を書く作業はかなり快適になりますが、文字起こしの正確性をあげたいのであれば、こちらもあわせて利用するととても心強いです。
※「記者ハンドブック for ATOK」に関しては、下記の記事において詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。↓
ATOKクラウドチェッカーで文章校正をする
ATOK Passportを利用しているユーザーは、「ATOKクラウドチェッカー」という文章校正ソフトをあわせて利用できるようになります。
記事を納品する前にさっとこちらの校正ソフトを通しておくと、不自然な言い回しが誤字・脱字がないかを簡単に調べることができます。
【ATOK】
・日本語入力システム「ATOK」 | ATOK Passport |【公式】ATOK.com
サブスクリプション/1カ月の無料体験あり。
Windows/Mac/Android/iOSの各4つのOSに対応。1プランにつき、10台までインストール可能。
「記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集」に準拠したATOKの変換辞書
「ATOK Passport プレミアム」のプランの1つとして利用できる文章校正ツール
自動文字起こしのアプリやソフトを利用する

自動文字起こしのアプリやサービスを併用することで、さらに快適に文字起こしをすることができます。
最近では、スマートフォンで利用できるアプリを含めて、非常に多くのAIによる音声認識機能を用いた自動文字起こしソフトがあります。
こちらの記事では自分の手で文字起こしをする人を主な読者として想定していますので、自動文字起こしソフトについては多くは触れないつもりでいますが、私もかなり多くのアプリを実際に試したことがあります。
実際に複数の自動文字起こしのソフトを試してみた感想として、始めのうちは、「仕事としては使えないな…」と思って全部自分の手でやっていました。
しかし、自動文字起こしソフトの音声認識の精度は日々急速に進化していて、最近では反対に、ほとんどの文字起こしにおいて自動文字起こしソフトを併用しての作業が欠かせなくなっています。
会議の振り返りや議事録の作成などのために、音声データの概要を掴めればよいくらいでしたら、ほとんど手直しも必要ありません。
スマートフォンやICレコーダーで録音した音声ファイルを、そのまま読み込ませるだけで作業は完了します。
正確な文字起こしが必要である場合は、まだまだ自分の手による確認と修正は欠かせませんが、それでも体感的には半分くらいの時間で作業を終わらせることができます。
まずは自動文字起こしで全文書き出しをして、その後に間違っているところを修正することで作業の効率化を図りましょう。
Adobe Premiere Pro

おすすめのソフトは、「Adobe Premiere Pro」です。
このソフトはAdobeの提供する動画編集ソフトですが、テロップをアシストする機能として、自動文字起こし機能が標準搭載されています。
文字起こしをした文章はそのままテキストファイルに書き出すことが可能であるため、動画編集をしなくても、AI文字起こしソフトとしても非常に優秀です。
文字起こしの精度も、その他の文字起こし専用のソフトと比べても遜色なく、むしろPremiere Proを使ったほうがより精度が高いと個人的には感じます。
有料のAI文字起こしソフトなどを利用する場合は、30秒や1分あたりで料金が指定されていることが多いですが、Adobeソフトはサブスクリプションモデルなので、何回でも使い放題なのもよいですね。
文字起こしをする頻度がそれほど高くないのであれば、後述するようなサービスを利用するのも良いですが、頻繁に利用するのであれば、このような月額制のソフトを検討してみるのがおすすめです。
*Premiere Proの文字起こしの精度の検証や、具体的な使用方法については後日、別記事にする予定です。
Rimo Voice(オンライン)

その他におすすめなのは、こちらのRimo Voiceです。
それ以外にもいろいろなソフトを試してみましたが、私が調べた範囲ではこちらのソフトが一番精度が高くよかったです。
個人の場合は、音声ファイルの場合は20円/30秒、動画ファイルは30円/30秒という、利用する分だけの価格しかかからない料金体系です。
私の場合は文字起こしを日常的に行なう必要があるため、こちらのソフトは利用していません。
しかし、月に数件くらいの頻度でよかったり、Adobe Creative Cloud(Adobeソフトのサブスクリプションサービス)に加入していなかったら、こちらを利用していると思います。
高機能のライティングエディタを利用する

Scrivener3を活用する
最後に、テキストエディタについて紹介します。
私は文字起こしの作業をする際には、「Scrivener 3」というライティングソフトを利用しています。
こちらのライティングに特化したソフトウェアであり、脚本やシナリオの執筆など文章を専門的に書く仕事をしている方などによってよく利用されているソフトです。
文字起こしに特化した機能というものはありませんが、あらゆるライティングのための便利な機能が搭載されているため、文字起こしにおいても、非常に快適な書き起こしが可能になります。
具体的な機能としては、
・数秒おきの自動バックアップ
・フォルダやリサーチ資料の一元管理
・スナップショット機能(文章のバージョン管理やテキスト差分の比較等が簡単に行える機能)
・文字コードや書き出しファイル形式の細かな指定
・頻繁に使用するキーワードのファイルごとの登録
・自由度の高いエディタ画面のカスタマイズ機能
・「集中執筆モード」などライティングに集中できる機能
などがありますが、ここでは紹介しきられないくらい、他にもいろいろな機能が搭載されています。
Scrivener3の使用例


こちらの画面上に表示されているテキストはサンプル用として、ほぼ日刊イトイ新聞さまのインタビュー記事を表示しているものです。
実際に納品している仕事をこちらに載せることはできませんが、基本的にはいつもこのような画面構成で書き起こしをしています。
画面中央にエディタを表示して、すぐ左側に音声再生プレイヤーを最前面表示で固定しておきます。
各テキストファイルごとに、画面の右側に頻繁に出てくるキーワードを登録しておくことができるようになっています。
これによって、一度登録したキーワードはドラッグ&ドロップで、いつでもエディタ上に引っ張ってこられるようになっているため、何度も同じ語句を入力する必要がなくなります。
買い切りのソフトであり一度購入すればずっと使えるため、文章を書く機会の多いひとにはおすすめです。
まとめ

文字起こしは意外と大変な作業ではありますが、このように効率的な方法を知ることで、非常に楽にできるようになります。
もちろんただ楽になるだけではなくて、それだけミスも減り、仕事として行うのであれば納品するテキストの質も上がり、信頼されるようになるでしょう。
こちらで紹介しているものは有料のツールも少なくなく、文字起こし単体で見たときにはオーバースペックに思えるものもあるでしょう。
しかし、PCを使用する機会が多いのであれば、仕事以外の場面でも日常的に利用できるものばかりなので、無駄になるということはないように思います。
以上、文字起こしのコツについての記事でした。
長くなってしまいましたが、少しでも参考になれば幸いです。